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2011年11月11日 (金)

新しい労働社会―雇用システムの再構築へ

 岩波新書「新しい労働社会―雇用システムの再構築へ」を読了しました。
 著者は、独立行政法人労働政策研究・研修機構研究員の濱口桂一郎氏です。厚生労働省からこの独法に出向されているみたいですね。
 結論から言いますと、とても良い本です。
 私たちは、いろいろな労働問題について、断片的な接触しかしないことが非常に多いと思います。とりわけ、マスコミを通じたものはそれが顕著です。労働政策を勉強したことがある人や、継続的に労働問題を追いかけてきた人はそうでもないかもしれませんが、そうした人は世の中では少数派でしょう。
 この本は、労働政策について、日本型雇用の基本の解説から始まって、社会問題となってきた、名ばかり管理職、ホワイトラー・エグゼンプション、偽装請負、ワーキングプア、労働政策と対を成す社会保障までを一気に解説し、しかも新たな提言までをたったの210ページで行ってしまう、すごく「お得な」本です。これだけのコストパフォーマンスを持った本はちょっと無いでしょう。労務管理を担当していたり、労働組合の幹部の方は、常に鞄の中に入れておきたい1冊だと思います。
 著者に、相当の知識の蓄積が無ければこれだけの量をこれだけ簡潔には書けないでしょう。水増しは一切ありません。ただし、文章は平易で分かり易いのですが、論理展開を追うためには、「むむむ?」「AがB」で、「CがD」だから、BがCにつながると思うけど、「むむむ?あっ、そうか。そういうことか」と文章を読みながら悩むこともしばしば。著者のレベルに追いついていませんから。でも、勉強になります。
 竹中平蔵に「正社員の給料が高すぎるんですよ!」とかアジられるとムカつきますけれど、濱口氏のこの本のように、労働全般からあるべき姿を模索して、包括的な提案に至るとなると、同じ結論でも印象は全く違います。夫が正社員で馬車馬のように働いて、妻は扶養の範囲内でパートという社会から、仕事自体のあり方を変えていきます。夫も妻も同じように働きますが、過労死が発生するような労働はなく、夫の給料は減るかもしれないが妻の給料が上がるので、生活レベルが下がるわけでもありません。そうなると雇用の流動性を高めて、特に女性が出産後も社会復帰しやすくしないといけなません。流動性が高まれば、若者の雇用も増えます。高齢者だってそうです。ベンチャーも盛んになるのでは?
 そうなったら、どんな社会になるんだろう?いろいろな会社は、労務担当としての自分は、そんな変化に耐えられるんだろうか。ちょっと、ドキドキわくわくするところすらある、滅多に出会えない本でした。

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